2026年6月15日
鼻茸(鼻ポリープ)を伴う慢性副鼻腔炎の代表的な病気に、「好酸球性副鼻腔炎」があります。難病にも指定されている病気で、一般的な蓄膿症とは異なり、再発しやすく治りにくいことが特徴です。
強い鼻づまりや後鼻漏(のどに鼻水が流れる症状)、著しい嗅覚障害を引き起こし、日常生活の質を大きく低下させます。手術を受けても再発してしまうことが少なくなく、長年症状に悩まされている方も多くおられます。
2020年には、生物学的製剤と呼ばれる新しいタイプの注射薬「デュピクセント」が使用できるようになり、その後「ヌーカラ」も新たに加わりました。これらの治療によって、多くの患者さんの症状改善が期待できるようになりました。
そして今回、好酸球性副鼻腔炎に対する三本目の矢として、新たに「テゼスパイア」が使用できるようになりました。
1.テゼスパイアとは?
テゼスパイアは、生物学的製剤と呼ばれる注射薬の一つです。
アレルギーや炎症を引き起こす一連の反応の、比較的「上流」にある物質(TSLP)を抑えることで、鼻や副鼻腔だけでなく、のどや気管支などに起こる炎症を根本に近い部分から抑えることが期待されています。
これまでの治療では十分に症状を抑えきれなかった患者さんにとって、新たな選択肢となる可能性があります。
2.どのような方が対象になる?
すべての慢性副鼻腔炎の方が対象になるわけではありません。
一般的には、
・鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎と診断されている方
・点鼻薬や内服薬で十分な改善が得られない方
・手術を受けても再発を繰り返している方
・嗅覚障害や鼻づまりなどが強く、日常生活に支障をきたしている方
などが治療の対象となります。
実際に適応となるかどうかは、症状の程度やこれまでの治療経過などを総合的に判断して決定します。
3.使い方は?
テゼスパイアは4週間に1回、皮下注射で投与します。
医療機関で投与することもできますし、医師や看護師から指導を受けることで、自宅で自己注射を行うことも可能です。
通院回数を抑えながら治療を継続できることも大きなメリットの一つです。
4.費用について
薬価は1本あたり約17万円で、3割負担の場合の自己負担額は5万円程度になります。
一見すると高額な治療ですが、好酸球性副鼻腔炎の中等症以上の方では難病申請の対象となる場合があります。また、高額療養費制度を利用することで、実際の負担額を抑えられることも少なくありません。
詳しくは医療機関で相談してみるとよいでしょう。
5.副作用について
比較的安全性の高い薬とされていますが、
・注射部位の赤みや腫れ、痛み
・のどの痛み
・関節痛
などがみられることがあります。
また、頻度は低いものの、アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応が起こる可能性もあるため、体調の変化があった場合には速やかに医療機関へ相談することが大切です。
6.難治性の副鼻腔炎でお悩みの方へ
好酸球性副鼻腔炎は、再発しやすく、治療に難渋することも少なくありません。しかし近年、生物学的製剤の登場によって治療の選択肢は大きく広がってきています。
「鼻がずっと詰まっている」「匂いが分からない」「後鼻漏が気になる」「手術を受けたのにまた悪くなってしまった」
このような症状でお困りの方は、一人で悩まず耳鼻咽喉科にご相談ください。
当院では、「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」「好酸球性副鼻腔炎」の診療に力を入れております。詳しい検査を行い、患者さん一人ひとりの病状に合わせた治療をご提案しておりますので、お気軽にご相談ください。