のど・くちの病気
のど・くちの病気
急性咽頭炎とは、いわゆる喉かぜのことで、ウイルス(約9割)や細菌などの感染が原因で発生します。喉で炎症が起こり、喉の痛み、痰がらみ、咳、声がかれる、飲み込みにくいなどの症状が現れます。
治療は、喉処置やネブライザー(薬液を細かい霧状にして吸入する機器)で炎症の改善を促し、症状に応じてお薬も使用します。
扁桃は喉にあるリンパ組織の集まりです。一般的に「扁桃腺」と呼ばれるのは口蓋扁桃のことで、口を大きく開けるとのどちんこの両脇に見えます。口蓋扁桃で細菌が繁殖すると、強い炎症が起こり、喉の痛みや高熱などの症状を引き起こします。
治療は、抗生物質や解熱鎮痛剤の内服が主です。症状が強い場合は注射やステロイド剤も考慮します。慢性化すると頻繁に症状が現れ、日常生活に支障をきたすため、手術で口蓋扁桃を摘出することを検討します。手術の適応は、症状が合計8回以上、または1年で5回以上の場合です。
扁桃炎が悪化し、炎症が扁桃の周囲の組織に広がると「扁桃周囲炎」になります。さらに悪化して、扁桃のまわりに膿が溜まると「扁桃周囲膿瘍」になります。
扁桃周囲膿瘍になると、今までにないような強い痛みや腫れで口が開かなくなり、食事が摂れなくなってしまいます。扁桃炎が治りかけた際に治療をやめてしまうことで引き起こされることが多く、扁桃炎は完治するまでしっかり治療を継続することが大切です。
扁桃周囲膿瘍まで至った場合、口腔を針で刺したり切開したりして膿を排出する処置が必要になります。扁桃周囲膿瘍は、縦郭膿瘍(胸の中央にある空間に膿が溜まる重篤な状態)などの重篤な疾患につながることがあります。また、再発しやすいので、1度でも起こした場合は口蓋扁桃を摘出することが勧められます。
上咽頭は、鼻の奥から喉へとつながる部分を指します。喉かぜなどが引き金となり、上咽頭で炎症が起こります。その結果、喉の痛み、痰がらみ、咳、鼻が喉に落ちる(後鼻漏)、声がれといった症状が現れます。
内服治療が効きにくいことが多く、長引いて慢性化することもしばしばみられます。その場合は塩化亜鉛を上咽頭に直接塗布するBスポット療法を行います。症状が長く続いている方は、一度耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。
喉頭蓋(こうとうがい)は、のどぼとけの少し上にある突起で、飲水や食事の際に気管の入り口を覆い、飲み物や食べ物が気道に入らないようにする働きがあります。
細菌やウイルスの感染により喉頭蓋に炎症が起きた状態を、急性喉頭蓋炎といいます。軽度の炎症の場合、物を飲み込む時に喉の痛みや異物感が現れます。しかし、炎症が強くなると激しい喉や首の痛み、発熱、声の出しにくさ、息苦しさなどが現れ、最悪の場合は窒息することもあります。
治療は、抗生剤やステロイド剤の注射が中心です。窒息の可能性がある場合は、厳重な呼吸管理ができる医療機関での入院治療が必要です。
声帯はのどぼとけの奥にある、発声のための器官です。風邪などにより声帯に炎症が生じると、声が枯れたり全く出なくなったりします。声帯はデリケートな組織であり、軽い炎症でも強い症状が出ることがあります。声が出しにくいと日常生活に支障が出やすく、早い改善を希望される方が多いです。
治療は、症状の強さによっては炎症を抑えるステロイドの内服を行うこともあります。ネブライザーも比較的有効で、症状が重い方には連日ネブライザー治療を行うこともあります。
声帯の酷使(大きな声、長時間の歌唱や発声)、喫煙、反復する声帯炎などが原因で声帯の一部が腫れると、強い声枯れが生じます。中には声がほとんど出なくなることもあります。
声帯粘膜の内出血からできるやわらかい盛り上がりを声帯ポリープといい、表皮細胞が厚くなってできる硬い盛り上がりを声帯結節といいます。これらは、保育士、歌手、アナウンサーなど、声を多く使う職業の方に多い疾患です。
治療法はどちらもほぼ同じで、声を出すことを控え、声帯を安静にすることが第一です。症状が長引く場合は、手術でポリープや結節を取り除くこともあります。
まれですが、喉にがんができることもあり、喉の痛みや違和感、痰がらみ、咳、声がかれる、飲み込みにくいといった症状が現れます。がんには特有の自覚症状がなく、他の喉の疾患と似た症状を示します。しかし、症状が軽快せず、徐々に悪化することが特徴です。
がんは早期発見・治療が非常に大切です。喉に異常を感じた場合は、早めにご相談ください。がんが強く疑われる病変が見つかった場合には、診断や治療設備の整った大学病院などの医療機関へ紹介いたします。
口内炎は口内の粘膜に生じる炎症の総称で、最もよくみられるのはアフタ性口内炎です。境界がはっきりした数ミリの白い病変で、周囲が赤くなり、痛みを伴います。
ほとんどの場合、口内を清潔に保つことで1~2週間で自然に治癒します。症状が強い場合は、ステロイド軟膏を処方します。2週間以上改善がない場合は、特殊な口内炎や全身性疾患が原因の可能性があるため、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
口腔乾燥症は、唾液の分泌量の低下や質の変化が原因で、喉の渇き、口の中の乾燥、痛み、不快感などを引き起こします。水分の少ない食品(クッキーやクラッカーなど)がうまく飲み込めない、口の中がネバつく、乾燥して夜中に何度も目が覚める、味覚障害、食事が美味しくない、舌の痛みや口角炎、歯周病や虫歯の発症、入れ歯の不適合や痛み、舌苔の肥厚、口内炎や口臭といった症状があります。
これらの症状は、加齢による唾液の分泌低下が最も関与しています。アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりからの口呼吸や、内服薬の副作用なども原因となることがあります。治療はマスクやうがい、積極的な水分補給、保湿ジェルの使用といった対症療法が中心です。アレルギー性鼻炎など、他に原因となる疾患がある場合は、その治療を行います。
味を感じにくいと感じている方の大多数は、実は嗅覚が低下していると言われています。味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味を感じることです。味覚が低下すると、砂糖水や塩水、酢の違いが分からなくなります。一方で嗅覚が低下すると、リンゴジュースとオレンジジュースの違いなど、風味の違いが分からなくなります。
味覚障害は血中の亜鉛の低下や口腔内環境の悪化が原因であることが多く、治療は亜鉛の内服や口腔ケアを行います。
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