粘膜下下鼻甲介骨切除術
粘膜下下鼻甲介骨切除術
粘膜下下甲介骨切除術(ねんまくかかこうかいこつせつじょじゅつ)は、鼻の中にある下甲介(かこうかい)の骨の一部を切除する手術です。
鼻内には外側壁から出ている甲介というヒダがあり、上から上鼻甲介(じょうびこうかい)、中鼻甲介(ちゅうびこうかい)、下鼻甲介(かびこうかい)と呼びます。この中でも下鼻甲介が最も大きく鼻通りに影響しています。通常、下甲介は鼻腔を広げることで空気の流れを助け、鼻腔内の湿度や温度を調整します。しかし、下甲介が肥大すると、鼻腔が狭くなり、鼻詰まりや鼻呼吸の困難が生じます。このような状態を改善するために行われるのが粘膜下下甲介骨切除術です。
粘膜下下甲介骨切除術では、内視鏡を使って鼻腔内を拡大して詳しく観察しながら、余剰な粘膜や骨を取り除き、下甲介を形成し、鼻内の空気の流れを正常化することで、鼻づまりを改善します。この手術により、鼻腔が広がり、鼻呼吸が楽になります。
また、アレルギー症状が強い方では、「後鼻神経切断術」を同時に行うことがあります。後鼻神経切断術は、アレルギー反応を引き起こす神経を切断することで、アレルギー症状を緩和します。さらに、鼻中隔彎曲の強い方には「鼻中隔矯正術」を同時に行い、鼻中隔の歪みを修正して、より効果的な呼吸の改善を図ります。
鼻詰まりの改善
下甲介の肥大を解消することで、鼻腔が広がり、空気の流れがスムーズになります。これにより、鼻詰まりが改善され、呼吸が楽になります。
睡眠の質の向上
鼻詰まりが改善されることで、睡眠時の無呼吸やいびきが軽減されることがあります。これにより、睡眠の質が向上し、日中の疲労感や眠気が減少します。
鼻炎症状の緩和
アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎の患者にとって、鼻詰まりが改善されることで、その他の鼻炎症状(くしゃみ、鼻水など)も軽減されることがあります。
この手術は、以下のような症状や状態が見られる場合に適応されます。
慢性的な鼻詰まり
内服薬やスプレーなどの一般的な治療法で改善されない慢性的な鼻詰まり。
睡眠時無呼吸症候群
鼻詰まりが原因で、睡眠時に無呼吸やいびきが生じている場合。
アレルギー性鼻炎
薬物療法で十分な効果が得られないアレルギー性鼻炎の患者。
慢性鼻炎
長期間にわたる鼻炎症状が改善しない場合。
手術後には以下のような注意点があります。これらを守ることで、術後の回復を早め、手術の効果を最大限に引き出すことができます。
鼻の安静を保つ
手術後数日は、鼻をできるだけ安静に保つことが重要です。鼻を強くかむことや、鼻をこすることは避けてください。これにより、手術部位の出血や炎症を防ぐことができます。
適切な鼻ケア
術後には鼻腔内を清潔に保つために、生理食塩水での鼻洗浄が勧められることがあります。適度な湿度を保つために、加湿器を使用することも有効です。
定期的な通院
術後の経過を確認するために、定期的に通院することが重要です。手術部位の回復状況をチェックし、必要に応じて追加の治療を受けることができます。
薬の服用
医師から処方された薬(抗生物質や抗炎症薬など)を指示通りに服用してください。これにより、術後感染の予防や炎症の抑制が期待できます。
激しい運動やアルコールの摂取を避ける
術後しばらくは、激しい運動やアルコールの摂取を控えてください。これにより、出血や術後感染・炎症を軽減することができます。
禁煙
喫煙は傷の治りを悪くし、鼻粘膜の回復を遅らせるため、術後は禁煙することが推奨されます。また、喫煙は鼻腔内の血流を悪化させ、炎症を引き起こす可能性があります。
出血
術後しばらくの間、染み出るような鼻血や喉への血液の流れ込みが一定程度起こります。あふれ出るような大量の出血が見られた場合は、すぐに当院に相談してください。
ストレスの管理
ストレスは術後の回復を遅らせる要因となるため、リラックスできる環境を整えることが重要です。十分な睡眠を取り、バランスの取れた食事を心がけましょう。
粘膜下下甲介骨切除術は、慢性的な鼻詰まりや鼻呼吸の困難を改善するための効果的な手術です。手術によって鼻腔が広がり、呼吸が楽になるだけでなく、睡眠の質の向上や鼻炎症状の緩和も期待できます。術後の回復をスムーズに進めるためには、適切なケアと医師の指示に従うことが重要です。手術に関する詳細な情報や疑問点については、お気軽にご相談ください。
TOP