副鼻腔手術
副鼻腔手術
副鼻腔手術(ふくびくうしゅじゅつ)は、副鼻腔に関連する疾患を治療するための手術です。
副鼻腔は鼻の周りにある空洞で、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞の4つに分かれています。これらの副鼻腔が炎症を起こすと、副鼻腔炎(蓄膿症)を引き起こし、鼻づまりや鼻水、頭痛、顔面痛などの症状が現れます。
副鼻腔手術は、慢性副鼻腔炎や鼻ポリープ、真菌性副鼻腔炎、腫瘍など、薬物療法では改善が見られない場合に行われます。副鼻腔の出口の薄い壁を取り除き、広く副鼻腔を開放することで換気を良くします。さらに、奥にたまった膿や炎症の強い粘膜、時にはカビ(真菌)を取り除くことで副鼻腔炎を根本的に治療します。
鼻茸(はなたけ:鼻ポリープ)や腫瘍が認められる場合は、一部を組織の検査に回し、確定診断を行います。
当院で行う副鼻腔手術は内視鏡を用いた「内視鏡下鼻副鼻腔手術」です。この方法では、鼻の穴に内視鏡と専用の器具を挿入し、モニター画面を見ながら鼻内の手術を行います。
従来の手術方法に比べ、出血や痛みが格段に抑えられ、頬や口の中に傷がつくことがありません。また、頬の腫れやしびれも起こりません。
また、様々な角度から副鼻腔を観察でき、モニター画面で拡大表示できるため、鼻付近にある眼や脳といった危険部位を傷つけないよう、安全を確認しながら手術を行うことができます。
副鼻腔手術には以下のような効果があります。
症状の改善
手術により副鼻腔の換気が良くなり副鼻腔炎が軽快し、鼻づまりや鼻水、頭痛、顔面痛などの症状が大幅に改善されます。
感染の予防
手術により副鼻腔内の炎症や感染源を取り除くことで、再発する副鼻腔炎のリスクが減少します。
生活の質の向上
慢性的な副鼻腔炎に伴う不快な症状が改善されることで、日常生活が快適になり、生活の質が向上します。
併発症の予防
副鼻腔炎が原因で発生することがある合併症(例えば、中耳炎や気管支炎)の予防にも効果的です。
嗅覚の回復
長期間副鼻腔炎を患っている場合、嗅覚が低下することがありますが、手術によって鼻腔の通気や副鼻腔の炎症が改善されることで、嗅覚の回復が期待できます。
手術後には以下のような注意点があります。これらを守ることで、術後の回復を早め、手術の効果を最大限に引き出すことができます。
鼻の安静を保つ
手術後数日は、鼻をできるだけ安静に保つことが重要です。鼻を強くかむことや、鼻をこすることは避けてください。これにより、手術部位の出血や炎症を防ぐことができます。
適切な鼻ケア
術後には鼻腔内を清潔に保つために、生理食塩水での鼻洗浄が勧められることがあります。適度な湿度を保つために、加湿器を使用することも有効です。
定期的な通院
術後の経過を確認するために、定期的に通院することが重要です。手術部位の回復状況をチェックし、必要に応じて追加の治療を受けることができます。
薬の服用
医師から処方された薬(抗生物質や抗炎症薬など)を指示通りに服用してください。これにより、術後感染の予防や炎症の抑制が期待できます。
激しい運動やアルコールの摂取を避ける
術後しばらくは、激しい運動やアルコールの摂取を控えてください。これにより、出血や術後感染・炎症を軽減することができます。
禁煙
喫煙は傷の治りを悪くし、鼻粘膜の回復を遅らせるため、術後は禁煙することが推奨されます。また、喫煙は鼻腔内の血流を悪化させ、炎症を引き起こす可能性があります。
出血
術後しばらくの間、染み出るような鼻血や喉への血液の流れ込みが一定程度起こります。あふれ出るような大量の出血が見られた場合は、すぐに当院に相談してください。
ストレスの管理
ストレスは術後の回復を遅らせる要因となるため、リラックスできる環境を整えることが重要です。十分な睡眠を取り、バランスの取れた食事を心がけましょう。
副鼻腔手術は、副鼻腔に関連する疾患を治療するための手術で、慢性副鼻腔炎や鼻ポリープ、真菌性副鼻腔炎、腫瘍などの症状を改善することができます。手術により、症状の改善、感染の予防、生活の質の向上、合併症の予防、嗅覚の回復など、多くの効果が期待されます。
手術自体は内視鏡を用いて行われるため、外部からの切開が不要で、患者への負担も少なく、回復も早まります。しかし、術後の注意点をしっかりと守り、医師の指示に従うことが、手術の効果を最大限に引き出すためには重要です。もし副鼻腔炎や関連する症状でお困りの場合は、専門医にご相談いただき、適切な治療を受けることをお勧めします。
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