はなの病気
はなの病気
急性鼻炎とは、一般的に「鼻かぜ」と呼ばれるもので、ウイルスや細菌などの微生物による感染が原因で引き起こされます(約90%がウイルス感染によるものです)。これにより、鼻の内部に炎症が生じ、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、嗅覚の低下などの症状が現れます。症状がひどい場合や長引く場合、中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿症)を併発することもあります。そのため、適切な治療と経過観察が必要です。
治療には、鼻の処置やネブライザー(薬液を細かい霧状にして吸入する機器)を用いて炎症の改善を促し、症状に応じて薬を使用します。
アレルギー性鼻炎は、アレルゲン(ハウスダスト、ダニ、スギ、ヒノキなど)との接触により鼻の内部で炎症が起こり、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、嗅覚の低下、目のかゆみや充血などの症状が現れます。主なアレルゲンと症状が現れる時期は以下の通りです
血液検査により、主要なアレルゲンを特定することが可能です。治療方法は多岐にわたり、内服薬、点鼻薬、点眼薬、注射薬、レーザー治療、手術、舌下免疫療法などがあります。症状が重い場合、集中力の低下や睡眠の質の低下など日常生活に大きな影響を与えるため、包括的な治療が求められます。
アレルギー性鼻炎の手術について、詳しくは
寒暖差アレルギーとも呼ばれる血管運動性鼻炎は、起床時、食事時、寒い外に出たときなどに鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れます。アレルギー性鼻炎と異なり、特定のアレルゲンが関与していないため、検査での診断は困難です。症状を基に診断を行い、治療はアレルギー性鼻炎に準じて行います。
慢性鼻炎は、鼻の中で炎症が長期間(おおむね3か月以上)持続し、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、嗅覚低下などの症状が続く状態を指します。原因は多岐にわたりますが、特定できないことも多くあります。
副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周囲にある4つの空洞:篩骨洞、上顎洞、前頭洞、蝶形骨洞)に炎症が生じる疾患です。鼻水や鼻づまり、くしゃみ、嗅覚低下、鼻の中の悪臭、口臭、後鼻漏(鼻水がのどに流れる)、頭痛、目の周りや頬の痛みなどの症状が現れます。
短期間で治癒するもの(おおむね1か月以内)を急性副鼻腔炎、長期間持続するもの(おおむね3か月以上)を慢性副鼻腔炎と呼びます。
急性副鼻腔炎の主な原因はウイルスや細菌の感染(大半がウイルス)です。治療は、鼻処置やネブライザー(薬液を細かい霧状にして吸入する機器)で炎症の改善を促し、症状に応じて薬を使用します。症状が強い場合や繰り返す場合は、副鼻腔の出口を広げる手術や鼻や副鼻腔の形態を改善する手術が必要になることがあります。
慢性副鼻腔炎の原因は多岐にわたります。まずCTで副鼻腔の詳細を評価し、必要に応じて追加の検査を行います。治療は、手術を含めた複数の治療法を組み合わせることが多く、長期にわたる場合もあります。特に、好酸球性副鼻腔炎は指定難病に登録されており、再発率が高いため、しっかりとした治療と経過観察が必要です。副鼻腔炎の手術について、詳しくは
鼻中隔とは、左右の鼻の穴を真ん中で隔てている壁のことで、この鼻中隔が左右どちらかに湾曲している状態を鼻中隔湾曲症といいます。
成人の約7割以上に認められますが、症状がなければ治療の必要はありません。しかし、特に鼻づまりなどの症状がある場合は、手術によって形態を整えることで症状の改善が期待できます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎にこれらを合併している場合、症状を悪化させたり、長引かせたりする要因となるため、手術で形態を整えることが推奨されます。
鼻中隔湾曲症の手術について、詳しくは
下鼻甲介という鼻孔の外側にあるヒダが腫れたりいびつな形になる状態を、肥厚性鼻炎と呼びます。
症状がなければ治療の必要はありませんが、特に鼻づまりなどの症状がある場合は、手術によって形態を整えることで症状の改善が期待できます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎にこれらを合併している場合、症状を悪化させたり、長引かせたりする要因となるため、手術で形態を整えることが推奨されます。肥厚性鼻炎の手術について、詳しくは
小さなお子さんが鼻の中におもちゃなどの異物を入れてしまうことがあります。これが取り出せなくなると、鼻内を観察して鉗子やフックを使用して摘出します。特にボタン電池を鼻に入れてしまうと、粘膜を損傷して鼻中隔に穴が開くことがあるため、早期の対応が必要です。
鼻出血は一般的な症状で、とくにお子さんの日常生活でしばしば見られます。ほとんどが鼻の入り口付近からの出血で、鼻をぶつけたり、強くかんだり、鼻を指で触ったりすることで粘膜に傷がつき出血します。
鼻出血が起きた際は、小鼻(鼻の外側のふくらみ)を抑えて軽く下を向いて安静にしてください。おおよそ5~10分で止まることが多いですが、血液をサラサラにする薬を服用している場合は、止まるまでの時間が長くなることがあります。のどに流れてきた血はなるべく吐き出してください。鼻の中にティッシュや綿花を入れると傷がひどくなることがあるので避けてください。
鼻の入り口付近に太い血管や腫れた血管がある場合、出血量が多くなりがちで、頻度が多くなったり止まりにくくなることがあります。日常生活に支障が出る場合は、電気で血管を焼灼する治療を行います。15分以上出血が続く場合や大量に出血する場合は、鼻の奥の太い動脈からの出血(後鼻出血)や鼻の中の腫瘍、その他の病気の可能性があるため、耳鼻咽喉科での精査をお勧めします。
においを感じる粘膜は、鼻の奥深くにあります。そのため、鼻の空気の流れが悪くなるとにおいを感じにくくなります(気道性嗅覚障害)。また、においを感じる粘膜自体の炎症や障害でもにおいを感じにくくなります(嗅神経性嗅覚障害)。さらに、においを感じる脳の部分に障害があると、においを感じにくくなることがあります(中枢神経性嗅覚障害)。
原因は多岐にわたり、慢性疾患や重大疾患が背景に隠れていることもあります。治療は原因や重症度によって異なりますが、長期間放置すると治りが悪くなる傾向にあります。嗅覚障害が1か月以上続く場合は、耳鼻咽喉科での精査をお勧めします。
味を感じにくいと感じる方の大多数は、実は嗅覚が低下していると言われています。味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味のことで、味覚が低下すると砂糖水や塩水、酢の違いが分からなくなります。一方で、嗅覚が低下するとリンゴジュースとオレンジジュースの違いのような風味の違いが分からなくなります。
味覚障害の原因としては、血中の亜鉛の低下や口腔内環境の悪化が多く挙げられます。治療は、亜鉛の内服や口腔ケアを行います。
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