めまい・顔面麻痺
めまい・顔面麻痺
めまいは多くの方が経験する症状ですが、目に見えないため相談しにくいこともあります。めまいにはいくつかの種類があります。ぐるぐる回るような「回転性めまい」、立ち上がるとクラクラして目の前が暗くなったり気が遠くなったりする「非回転性めまい」、体がふわふわして浮いている感じがし、真っ直ぐ歩くことが難しくなる「浮動性めまい」などがあります。めまいを引き起こす原因は多岐にわたりますが、大きく4つに分類できます。1つ目は平衡感覚をつかさどる内耳に問題がある「耳からくるめまい(末梢性)」です。2つ目は脳や中枢神経に問題がある「脳からくるめまい(中枢性)」です。3つ目は血圧や自律神経に問題があるめまい、4つ目は心理的もしくは精神的要因によるめまいです。当院では「耳からくるめまい」に重点を置いて検査・治療を行う体制を整えております。その他の原因によるめまいが疑われる場合は、適切な専門病院をご紹介いたします。
良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石の一部が外れて三半規管内を動き回ることで、強いめまいを引き起こす疾患です。頭の動きに伴い耳石も動くため、寝返り、起床時、臥床時など頭の位置が変わるときにめまいが強くなります。安静にしていると、数秒から数十秒でめまいは軽減し、通常は難聴や耳鳴りを伴いません。
治療は、耳石の位置を矯正する「めまい体操」が有効です。この体操が効果的でない場合は、症状を緩和する薬を内服します。安静にしすぎると治りが遅くなることがあるため、通常通りの日常生活を送りつつ、危険を伴う行動(例:車の運転)は控えることが推奨されます。
メニエール病は、内耳が水腫を起こすことで、めまいや聴力低下、耳鳴り、耳の閉塞感などの症状を引き起こします。多くの症例では、これらの症状が繰り返し現れます。ストレスが症状を悪化させる要因とされており、予防策として夜更かしを避け、規則正しい食事、十分な水分補給、ストレスの軽減が推奨されています。
治療としては、イソバイドという苦い水薬(ゼリータイプもあります)やめまいを抑える薬の内服が一般的です。
低音障害型感音難聴は、突発性難聴に似た疾患で、難聴に加えて、耳鳴り、耳閉感、めまいなどの症状を伴います。ただし、症状には波があり、両側または交代性に現れたり、繰り返したりすることが多いです。この病態は突発性難聴よりもメニエール病に近く、低音障害型感音難聴からメニエール病に移行する例もあります。
治療は突発性難聴と同様に、ステロイド剤や循環改善剤、ビタミン剤の使用が主ですが、反復する場合にはメニエール病の治療薬を併用することがあります。
突発性難聴は、原因不明の内耳の炎症が突然発症し、急に耳の聞こえが悪くなる疾患です。ほとんどの場合、片側の耳だけに発症します。難聴に加えて、耳鳴り、耳閉感、めまいなどの症状を伴うことがあります。一度悪化した聴力は徐々に改善することが多いですが、全く改善しないこともあります。再発することは稀です。
治療は発症からおよそ2週間以内であれば、ステロイド剤の内服や点滴を行います。加えて、循環改善剤やビタミン剤の内服治療も行われます。
前庭神経炎は、内耳と脳をつなぐバランスを司る前庭神経に炎症が生じ、突然強いめまいを引き起こす疾患です。風邪などのウイルス感染が契機となり、その後に発症することが多いとされていますが、はっきりとした原因は明らかではありません。難聴や耳鳴りを伴わないことが多く、発症後は徐々に改善し、2週間ほどで症状が落ち着くことがほとんどです。繰り返すことは稀です。
治療にはステロイド剤やめまいを緩和する薬を使用します。
中耳で強い炎症が起こると、まれにその炎症が内耳に広がり、内耳炎を引き起こすことがあります。内耳炎が発生すると、強いめまい、難聴、耳鳴りといった症状が現れます。放置すると内耳の機能が大きく損なわれ、回復が難しくなります。めまいは体の代償機能によって改善することが多いですが、特に高度な難聴は、残ってしまう可能性があります。
治療には、抗生物質や高用量のステロイドを使用します。感染のコントロールが難しい場合は、中耳の膿を排出し、感染を改善させるための手術を検討することもあります。
顔面麻痺は、顔の動きが悪くなることで、顔が歪んだり、目が閉じにくく乾燥する、口角が上がらず水や食べ物が口から漏れるといった症状を引き起こします。顔面麻痺には、「中枢性顔面神経麻痺」と「末梢性顔面神経麻痺」の2種類があります。
中枢性顔面神経麻痺は、脳の病気が原因で発生します。この病気が疑われる場合は、専門病院をご紹介いたします。
末梢性顔面神経麻痺は、末梢神経の炎症が原因で起こり、ほとんどの場合、ウイルス感染が関与しています。主な原因ウイルスは単純ヘルペスウイルスと帯状疱疹ウイルスです。帯状疱疹ウイルスが原因となる場合は「HUNT症候群」と呼ばれ、めまいや難聴、耳鳴りなどの症状を伴い、一般的に治りが悪いとされています。
症状は発症から約1週間後に最も悪化し、その後は徐々に改善します。治癒には通常、3か月から半年間がかかります。治療は、ステロイド剤と抗ウイルス薬の内服が中心です。
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