生物学的製剤(ゾレア・デュピクセント)
生物学的製剤(ゾレア・デュピクセント)
最近のトピックスとして分子標的治療薬があります。これは特定の分子のみを標的とした治療薬で、高い治療効果が期待できる上に副作用も最大限抑えられています。この薬剤はバイオテクノロジー(遺伝子組み換え技術や細胞培養技術)を用いて生成されることがほとんどであり、生物学的製剤とも呼ばれます。欠点は薬剤が非常に高価なことです。当院では主に好酸球性副鼻腔炎に対するデュピルマブ(商品名:デュピクセント®)とスギ花粉症に対するオマリズマブ(商品名:ゾレア®)を扱っております。
デュピクセントが適応となる好酸球性副鼻腔炎は、難病に指定されている副鼻腔炎です。鼻の中にポリープが多発する病気で、鼻汁や鼻閉、後鼻漏、咳、痰など通常の副鼻腔炎症状に加え、早期からの強い嗅覚低下が認められるのが多いです。治療の第一選択は手術となりますが、約半数で再発するとされており、術後の治療や経過観察も大切です。
デュピクセントの主な対象は、好酸球性副鼻腔炎の術後でコントロールが不十分な方となります。再発コントロールが難しい症例に対しての使用はもちろん、嗅覚コントロールが不十分な症例に対してデュピクセントを使用することで、良好な嗅覚コントロールが得られることも少なくありません。嗅覚は日常生活の質(QOL)に大きく寄与しますので、好酸球性副鼻腔炎術後で嗅覚のコントロールが不十分な方には積極的に提案いたします。
ゾレアはスギ花粉症に対する治療薬です。適応は12歳以上の重症または最重症のスギ花粉症患者で、既存治療で効果が不十分であった方となります。治療の一般的な流れとしては、12月から1月に来院していただき採血検査を行い、ゾレアの適応と投与量を判断します(スギ特異的IgE抗体はクラス3以上必要)。それに基づき、2月から4月にかけて、おおよそ3か月にわたりゾレアの注射を行います。投与は4週間毎の場合と2週間毎の場合があります。
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