2025年10月10日
「風邪をひいたら抗生物質を飲めば早く治る」――そう思っている方は少なくありません。
けれど実は、風邪の多くには抗生物質は効かないのです。
風邪とは?
風邪は、主に鼻やのど(上気道)にウイルスが感染して起こる病気です。くしゃみ、鼻水、のどの痛み、咳、発熱などが現れ、多くは1週間ほどで自然に良くなります。
原因のほとんどはウイルスであり、細菌が原因となるケースはごく一部です。
抗生物質ってどんな薬?
抗生物質は「細菌」を殺したり、増えるのを抑えたりする薬です。
つまり「ウイルスが原因の風邪」には効きません。
抗生物質をむやみに使うと?
・耐性菌が増える:抗生物質を使いすぎると、薬が効かない強い細菌が増えてしまいます。
・副作用が出る:腸内の良い菌まで殺してしまい、下痢などの症状を起こすことがあります。
抗生物質が必要な場合もあります
ただし、すべての風邪が「薬不要」というわけではありません。例えば、次のような場合には抗生物質が効果的です。
・溶連菌による扁桃炎など、細菌が原因の咽頭炎
・風邪のあとに起こる、中耳炎・副鼻腔炎・気管支炎などの二次感染
・百日咳など、特定の細菌感染が疑われるとき
これらは診察や検査で見極めることが大切です。
当院の考え方
当院では、不要な抗生物質の使用をできるだけ控えています。「必要なときに、必要な量だけ使う」ことで、患者さんにとって最も安全で効果的な治療を目指しています。
抗生物質は正しく使えばとても頼もしい薬です。風邪のときは自己判断で余っている薬を飲まず、耳鼻咽喉科で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。