2025年4月25日
日常的によく遭遇する鼻出血の多くは、鼻の入り口付近の粘膜が少し傷ついて起こるもので、しばらく様子を見ても問題ないことがほとんどです。しかし、以下のようなタイプの鼻出血は注意が必要です。症状に心当たりがある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
1. 後鼻出血
- 原因:鼻腔や副鼻腔を走る動脈が傷ついて、奥で繰り返し出血する
- 特徴
- 出血が激しく、「鼻をつまんで下を向く」「ティッシュを詰める」では止まりにくい
- 血が喉へ流れ込む感覚がある
- 出血は10~30分ほどで自然に止まりますが、いつ再開するか予測できない
- 影響:繰り返すたびに生活に支障が出たり、心身ともに疲弊したりします。場合によっては入院加療や外科的止血処置が必要です。
2. 腫瘍性の出血
- 原因:鼻腔内にできもの(腫瘍)ができることで、そこの血管から出血しやすくなる
- 特徴
- 後鼻出血と同じく基本的な止血法では止まりにくい
- 一部では腫瘍の診断や治療方針決定のために内視鏡検査や生検が必要
- 対応:耳鼻咽喉科での精密検査後、必要に応じて外科的治療を行います。
3. オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)
- 原因:全身性に異常な血管が多発して出血しやすくなる遺伝性疾患
- 特徴
- 鼻の入り口付近の粘膜にも異常血管ができ、軽い刺激で出血する
- 家族に同様の難治性鼻出血がある場合や、舌・指に「クモ状血管腫」が見られる方は要注意
- 対応:通常の止血法で抑えられる場合もありますが、重症例では専門的な止血治療が必要です。
基本的な止血方法
- 鼻の柔らかい部分(小鼻の真ん中より少し上)をしっかりつまむ
- 頭を軽く前に傾け、10~15分間じっと待つ
- ティッシュを使う場合は小さめに折り、優しく詰める
- 大きく押し込むと粘膜を傷つけ、出血が悪化することがあります
これでも止まらない、または頻繁に再出血を繰り返す場合は、無理をせず医療機関を受診してください。