2025年9月12日

慢性的に鼻づまりや嗅覚障害を繰り返す「好酸球性副鼻腔炎」という病気があります。手術をしても再発してしまうことが多く、長年つらい症状に悩まされている方も少なくありません。
近年「デュピクセント」という注射薬(生物学的製剤)が使えるようになり、多くの患者さんで症状の改善がみられましたが、それでも十分な効果が得られない方がおられます。
そこで2024年8月から、新たに「ヌーカラ」という注射薬が好酸球性副鼻腔炎にも使用できるようになりました。ヌーカラもデュピクセントと同じ「生物学的製剤」に分類される薬で、抗体が特定の物質に作用して炎症を抑える仕組みです。
デュピクセントとは狙うターゲットが異なるため、これまで効果が不十分だった方に対しても、新たな治療の可能性が期待されています。
対象となる方
ヌーカラは「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎で、既存の治療を行っても再発や改善が見られない方」が主な対象です。実際には、ほとんどの方で一度は手術を受けることが前提となります。
医学的に手術が行えないと判断される場合に限り、手術を経ずにヌーカラやデュピクセントを開始することがあります。
投与方法
ヌーカラは4週間に1回、皮下注射(お腹・太もも・上腕など)で投与します。初回は院内でスタッフが行い、自己注射の方法もご説明します。2回目以降は院内での注射に加え、ご自身で行っていただくことも可能です。
メリットと注意点
- メリット:デュピクセントは最初の半年間、2週間ごとに注射が必要ですが、ヌーカラは最初から4週間に1回で済みます。注射回数が少なく、通院の負担を軽減できる点は大きな利点です。
- デメリット:費用はデュピクセントより高くなります。効果については現時点で大きな差は報告されていませんが、患者さんの状態によってはヌーカラの方が適しているケースもあります。
副作用について
注射部位に赤みや腫れ、痛みが出ることがあります。また、まれに強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすことがありますが、頻度は高くありません。
安全に使用できるよう、医師の管理のもとで投与を行いますのでご安心ください。
当院での取り組み
当院ではこれまで、好酸球性副鼻腔炎に対して手術やデュピクセントによる治療を行ってまいりました。今後は新しい選択肢として「ヌーカラ」も導入し、患者さん一人ひとりに最適な治療を提案できる体制を整えています。
ご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。