2025年9月05日

注射を使わず、鼻にスプレーするだけで受けられるインフルエンザワクチン「フルミスト」が注目されています。
小児のインフルエンザ予防接種では通常2回の注射が必要ですが、フルミストは1回で済むことが多く、海外ではすでに長年広く使用されている方法です。日本でも昨年から導入が始まり、今年は接種の機会がさらに増えると期待されています。
フルミストとは?
フルミストは「生ワクチン」と呼ばれる種類のワクチンです。実際のインフルエンザウイルスを弱めたものを鼻から投与し、自然な形で体に免疫をつける仕組みです。そのため、注射による不快感がなく、より強い効果が得られる可能性があるとされています。
対象となる方
現時点で日本では 2歳から18歳未満 が対象です。
ただし、以下の方は接種できません。
- 2歳未満の乳幼児
- 重症の喘息を持つ方
- 妊娠中または授乳中の女性
- 重度の免疫不全のある方
- ワクチン成分で強いアレルギー反応を起こしたことのある方
- 心臓・腎臓・肺の病気を持つ方、糖尿病の方
- ギラン・バレー症候群の既往がある方
- アスピリンなどサリチル酸系の薬を使用している方
※対象になるかどうかは診察時に確認いたしますので、ご相談ください。
接種方法
点鼻薬と同じように、左右の鼻に1回ずつスプレーします。注射が不要で痛みもほとんどありません。
副反応や注意点
弱めたインフルエンザウイルスを使うため、接種後に軽い風邪のような症状(鼻水、鼻づまり、咳、微熱、頭痛、倦怠感など)が出ることがあります。多くは軽度で自然に治まりますが、まれに強く出る場合もあります。
また、接種後1~2週間は、免疫力の低い方(乳児や免疫抑制剤を使用している方など)との濃厚な接触を避ける必要があります。これは、ワクチン由来のウイルスを排出してしまう可能性があるためです。
まとめ
フルミストは「注射が苦手なお子さん」や「スムーズに予防接種を済ませたいご家庭」にとって、新しい選択肢となる予防接種です。制限や注意点もありますが、メリットも多くあります。当院でも今年のシーズンより導入を予定していますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。