2025年12月15日

風邪をひいたあとに、声が枯れて出しにくくなった経験はありませんか。
発熱や喉の痛み、咳、痰、鼻水などの風邪症状に続いて起こる声のかすれは、声帯に強い炎症が起きる「声帯炎」によることが多く、耳鼻咽喉科ではよくみられる症状です。
声帯炎は、無理に声を出したり、咳払いを繰り返したりすることで悪化しやすく、放っておいても自然に良くなることが多い一方、症状が強いと日常会話がつらく、仕事や生活に支障が出ることもあります。
一方で、風邪症状がないのに声が枯れる場合や、症状が長引く場合には注意が必要です。まれではありますが、声帯麻痺や声帯ポリープなど、声帯炎以外の病気が隠れていることもあるため、自己判断はおすすめできません。
診断について
診断は、細いカメラ(ファイバースコープ)を使って声帯を直接観察して行います。
声帯の腫れや赤みの程度を確認し、同時に声帯麻痺やポリープなどの異常がないかも調べます。
治療と日常での注意点
声帯炎の治療で最も大切なのは、できるだけ声を使わず、喉を休ませる「声の安静」です。
ささやき声はかえって声帯に負担がかかるため避けましょう。
また、マスクの着用や加湿器の使用、温かい飲み物などで喉を乾燥させないことも効果的です。
喫煙や飲酒は炎症を悪化させるため、症状がある間は控えてください。
多くの場合、これらの対応で数日から1週間ほどで改善します。
ただし、仕事などでどうしても声を使う必要がある方や、早めの改善を希望される場合には、炎症を抑える薬や去痰薬、ネブライザー吸入などの治療を行うことがあります。
受診の目安
- 声のかすれが1週間以上続く
- 風邪症状がないのに声が出にくい
- 声がほとんど出ない状態が続いている
このような場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
声が出にくい、枯れて困っている、できるだけ早く治したい――
そのようなときは、我慢せず耳鼻咽喉科にご相談ください。