2025年10月24日
鏡で喉をのぞいたとき、白い小さな塊が見えて驚いたことはありませんか?
それは「扁桃膿栓(へんとうのうせん)」と呼ばれるもので、多くの場合は心配のいらない現象です。
扁桃膿栓とは?
口蓋扁桃(こうがいへんとう)は、喉の奥の左右にあるリンパ組織で、口や鼻から入ってくる細菌やウイルスから体を守る役割をしています。
その表面には「陰窩(いんか)」と呼ばれる小さなくぼみが多数あり、ここに剥がれ落ちた粘膜・免疫細胞の死骸・細菌・食べかす・唾液中のたんぱく質などがたまって固まると、白~黄白色の柔らかい塊(1mm〜1cmほど)になります。これが膿栓です。
健康な人にもできることがあり、特に痛みや発熱などがなければ放っておいても問題ないことがほとんどです。
膿栓による主な症状
- 口臭
膿栓の中には多数の細菌が存在し、悪臭ガス(硫化水素やメチルメルカプタンなど)を発生させます。そのため、強い口臭の原因になることがあります。 - 喉の違和感
喉に何か引っかかる、飲み込むときにチクチクする、といった異物感を感じる場合があります。 - 扁桃炎を起こすことも
膿栓が細菌の温床となり、扁桃に炎症が広がると、喉の痛みや発熱を伴う「扁桃炎」を起こすことがあります。
予防のポイント
- 丁寧な歯みがき・舌磨き
口の中を清潔に保つことが膿栓予防の基本です。 - こまめな水分補給とうがい
特に起床時や長時間のデスクワーク後は意識的に。口の乾燥を防ぐことで細菌の繁殖を抑えられます。 - 鼻呼吸を意識する
口呼吸は乾燥の原因になります。鼻づまりがある方は早めに治療を受けましょう。 - 唾液の分泌を促す
よく噛む、酸味のある食品をとる、耳下腺・顎下腺・舌下腺を軽くマッサージすることで唾液の分泌を促進できます。 - 体調管理を整える
栄養バランスのよい食事、十分な睡眠、禁煙などで免疫力を高めましょう。
治療について
・うがいで自然に取れることも
軽い膿栓は、うがいの振動で取れる場合があります。自分で綿棒やピンセットで取ろうとすると、扁桃を傷つけるおそれがあるので避けてください。
・耳鼻咽喉科での除去
必要に応じて、洗浄・吸引・圧出などで安全に取り除くことができます。
・再発を繰り返す場合は手術も選択肢
根本的な治療として「口蓋扁桃摘出術」を行うことがあります。膿栓ができる扁桃を摘出するため再発は防げますが、術後の痛みや出血があるため、入院を伴う手術となります。
まとめ
扁桃膿栓は多くの場合、病気ではなく体のしくみの一部です。
ただし、口臭や喉の違和感が続く場合、扁桃炎を繰り返す場合などは、耳鼻咽喉科で一度診てもらうと安心です。
症状に合わせて、適切な治療や生活改善の方法を一緒に考えていきましょう。