2025年3月07日

耳の付け根や耳の周りに小さな穴があり、そこから匂いのする液体や、おからのようなものが出てくることはありませんか? これは「先天性耳瘻孔」と呼ばれる、生まれつき持っていることがある病気です。100人に2〜3人の割合で見られ、遺伝的な要因も関係しているため、家族内で発生することが多いとされています。生まれつきのものなので、予防方法はありません。
放っておくと何が問題?
小さい頃は分泌物の量が少なく、特に気にならないこともありますが、成長に伴い分泌物が増えたり、特に思春期ごろから匂いが気になることが多くなります。
最も注意すべきなのは感染です。いつ感染するかは予測できず、ある日突然、腫れや痛みを伴う炎症が起こることがあります。特に、一度感染を起こすと抗生剤が効きにくく、膿がたまると切開して排膿(膿を出す処置)をしなければならないこともあります。さらに、一度感染を起こすと、手術をする際の再発リスクが高まったり、傷の治りが悪くなることがあります。
治療について
① 感染を起こした場合
- まずは抗生剤で感染を抑える治療を行います。
- もし腫れや膿がひどく、薬で抑えきれない場合は、切開して膿を出す処置が必要になります。
② 根本的な治療(手術)
先天性耳瘻孔を完全になくすには、外科的に切除する手術が必要です。
「感染を起こしたら手術を考えましょう」と説明を受けたことがある方もいるかもしれませんが、当院では感染歴がない方でも手術をおすすめすることがあります。
その理由は、
- 最初の感染がひどくなると、手術よりもつらい(痛みが強く出やすい)治療が必要になることがある
- 手術をすれば、匂いのある分泌物が出なくなる
- 早めに手術をすることで、術後のリスクを最小限に抑えられる
当院の手術対応
- 局所麻酔での日帰り手術が可能
- 小さなお子さんや局所麻酔が難しい場合は、全身麻酔での日帰り手術も対応可能
術後の生活への影響も少なく、比較的負担の少ない手術です。
まとめ
先天性耳瘻孔は、生まれつきのものなので予防はできませんが、放置すると感染や匂いの問題が生じることがあります。気になる方は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、相談することをおすすめします。